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太陽光発電について調べると、記事はだいたい2種類に分かれます。「お得です」か「やめたほうがいい」か。

どちらも、たいてい根拠が薄い。売電収入だけで計算していたり、メーカーのシミュレーションを引き写していたりします。

我が家は2014年にオール電化の家へ太陽光を設置し、12年が経ちました。実は室内モニターが3年ほど壊れていて、発電量を把握できない時期がありました。 そのモニターが最近復活し、2014年6月からの月別データが12年分そのまま残っていることが分かりました。

この記事では、その147か月分の実測値をすべて公開します。発電量、売電量、自家消費量、そして設置費用に対していくら回収できたのか。推計ではなく、モニターに記録された数字です。

先に全体の流れだけ掴んでおいてください。

時期 何が起きていたか 売電単価
2014年6月 4.6kWを設置(費用2,498,696円)・稼働開始 37円/kWh
2014年6月〜2024年6月 FIT期間の10年間。年14万〜16万円の売電収入 37円/kWh
2024年6月 FIT満了(卒FIT)。売電収入が4分の1以下に
2024年7月〜現在 買取事業者を選んで売電中。自家消費が主役に 12.5円/kWh

「10年間おいしい思いをして、そのあと急に厳しくなった」——これが太陽光の12年でした。

📊 12年間の実測値(2014年6月〜2026年8月)

  • 設置容量:4.6kW(100Wパネル46枚・3方位設置)
  • 設置費用:2,498,696円(税込・10年ローンは完済済み)
  • 累計発電量:66,581kWh
  • 累計売電収入:約155万円
  • パネルの経年劣化:年1.63%(9.5年で−14.5%)
  • 設置費用の回収率:83〜91%

📋 この記事でわかること

  • 太陽光4.6kWの年間発電量(12年分の実測値)
  • 11年使ったパネルが何%劣化したか
  • FIT(37円)から卒FIT(12.5円)に変わって収入がどう落ちたか
  • 売電より自家消費のほうが重要だと分かった理由
  • 設置費用250万円に対して、今いくら回収できているか

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結論:12年で回収率83〜91%。あと2〜5年で元が取れる計算です

先に結論を出します。

金額
設置費用 2,498,696円
累計の売電収入(12年) 1,550,964円
累計の自家消費 20,804kWh の価値 52万〜73万円
合計の経済効果 207万〜228万円
回収率 83〜91%

自家消費の価値に幅があるのは、「買わずに済んだ電気」の単価が年によって違うからです。1kWhあたり25円で見れば83%、35円で見れば91%になります。

つまり設置から12年で、8〜9割は回収できている。残りは22万〜43万円なので、今のペースならあと2〜5年です。トータルで14〜17年で元が取れるというのが、実データから出た答えでした。

⚠️ ただし、この計算には入れていない出費があります。パワーコンディショナの交換費用です。

パネルは20年以上もつと言われますが、発電した電気を家庭で使える形に変換する「パワコン」の寿命は10〜15年とされています。我が家は稼働12年目なので、そろそろ交換の時期に入ります。交換費用は工事費込みで20万〜45万円が相場です(近年は物価上昇で30万〜40万円台のケースも増えています)。

仮に30万円かかった場合、回収は2〜3年ほど後ろにずれます。つまりトータル17〜20年。「14〜17年で回収」という数字は、パワコンがまだ壊れていないから成立しているという前提つきで読んでください。
⚠️ ただし、これから設置する方に同じ数字は当てはまりません。我が家が回収できている最大の理由は、FIT(固定価格買取制度)の単価が37円/kWhだったからです。今から設置する場合の単価はこれよりずっと低くなります。一方で設置費用も当時より下がっているので、「単価が下がった分、費用も下がった」という前提で計算し直す必要があります。この記事の数字は、あくまで2014年に設置した家の実績としてお読みください。

我が家の太陽光の条件

項目 内容
稼働開始 2014年6月
設置容量 4.6kW(100Wパネル46枚)
パネルメーカー ソーラーフロンティア
設置形態 3方位設置(屋根勾配4.5寸)
設置費用 2,498,696円(税込・10年ローン完済済み)
FIT買取単価 37円/kWh(2014年6月〜2024年6月の10年間)
卒FIT後の単価 12.5円/kWh
住まい 戸建て・オール電化・5人家族+愛犬1匹
電気の契約 東京電力「電化上手」

注目していただきたいのは3方位設置という点です。 屋根の形の都合で、パネルが3つの方向に分かれて載っています。全部が南向きの家に比べると条件は不利なはずですが、それでも後述のとおり発電量は目安を上回りました。


12年分の発電量をすべて公開します

まず生の数字です。モニターに記録されていた年間の実測値を並べます。

発電量 売電量 自家消費 買電量 自家消費率
2015年 5,833 4,335 1,499 7,189 25.7%
2016年 5,758 4,200 1,558 7,362 27.1%
2017年 6,053 ←最高 4,538 1,515 7,936 25.0%
2018年 5,861 4,244 1,616 7,300 27.6%
2019年 5,604 3,966 1,638 7,581 29.2%
2020年 5,372 3,657 1,715 7,547 31.9%
2021年 5,328 3,620 1,708 7,330 32.1%
2022年 5,224 3,603 1,622 7,342 31.0%
2023年 5,413 3,821 1,592 6,696 29.4%
2024年 4,991 3,168 1,823 6,752 36.5%
2025年 4,987 2,894 2,093 7,585 42.0%

(単位はすべてkWh。2014年は6月からの稼働、2026年は集計途中のため除いています)

このデータは147か月分すべてで「発電量=売電量+自家消費」が誤差0.0kWhで一致しました。転記ミスがないことの裏付けとして書いておきます。

累計発電量は66,581kWh。 一般的な世帯の年間電力消費を4,300kWhとすると、15世帯分の1年間の電気をこの屋根で作ったことになります。

太陽光4.6kWの年間発電量12年推移(売った電気と自分で使った電気の内訳)

グラフにすると、この記事で言いたいことがほぼ全部入っています。棒全体(発電量)は少しずつ縮んでいるのに、濃い色の部分(自分で使った電気)だけが伸びている。 この2つが同時に起きているのが、我が家の12年でした。

📊 グラフから読み取れること(3点)
  • 発電量(棒全体):ピークの6,053kWh(2017年)から4,987kWh(2025年)へ、約18%減少。劣化と天候の両方が効いています
  • 自家消費(濃い色):1,499kWh(2015年)→ 2,093kWh(2025年)へ約1.4倍に拡大
  • 売電(薄い色):4,335kWh(2015年)→ 2,894kWh(2025年)へ33%減少。ただし減った分の多くは自家消費へ移っただけです

パネルは11年で何%劣化したのか

ここが、この記事で一番お伝えしたい数字です。「11年使ったパネルが今どれだけ発電しているか」という実測値は、なかなか見つかりません。

2015年(稼働2年目・満年の初年度)を100として指数化しました。

発電量 指数
2015年 5,833 100.0
2017年 6,053 103.8
2019年 5,604 96.1
2021年 5,328 91.3
2023年 5,413 92.8
2025年 4,987 85.5

9.5年で−14.5%。年あたりに直すと約1.63%の低下です。

💡 この数字をどう見るか。太陽光パネルの出力保証は「20年で出力80%以上」といった形が一般的で、これは年1%程度の低下を想定しています。我が家の実測はそれよりやや速いことになります。

ただし注意点があります。この数字には天候の年変動が混ざっています。2017年に一度2015年を上回っている(103.8)のがその証拠で、日照量の多い年・少ない年の差が数%は出ます。純粋な劣化だけを取り出すことはできません。「劣化と天候を合わせて、10年で15%ほど落ちた」という読み方が正確です。

1kWあたりの発電量で見ると、実は優秀でした

他の家庭と比べられるように、設置容量1kWあたりの年間発電量に直します。

1kWあたりの年間発電量
2017年(ピーク) 1,316 kWh/kW
2020年 1,168 kWh/kW
2023年 1,177 kWh/kW
2025年 1,084 kWh/kW

一般に住宅用太陽光の目安は年1,000〜1,200kWh/kWとされます。つまり我が家は、設置当初は目安を大きく上回り、11年経った今でもまだ目安の範囲内にいます。

3方位設置という不利な条件でこの数字なので、パネル自体はよく働いてくれたと思っています。

これから設置を検討する方は、この「1kWあたり」で比べてください。 業者のシミュレーションが年1,300kWh/kWを超えるような数字を出してきたら、少し楽観的すぎないか確認する価値があります。


売電収入:FIT時代は年16万円、卒FIT後は3.6万円

次は収入です。FITの買取単価は37円/kWhでした。年ごとの売電収入を計算するとこうなります。

売電量 売電収入
2015年 4,335 kWh 160,382円
2017年 4,538 kWh 167,903円 ←最高
2020年 3,657 kWh 135,319円
2023年 3,821 kWh 141,391円
2024年(6月に卒FIT) 3,168 kWh 84,253円
2025年(卒FIT後) 2,894 kWh 36,209円

FIT期間中は年間14万〜16万円の収入がありました。 10年で約148万円です。設置費用250万円のうち、6割近くをここで回収したことになります。

そして2024年6月にFIT期間が終わりました。収入は年16万円台から3.6万円へ、4分の1以下に落ちています。

⚠️ 「太陽光は1kWh 30〜40円で売れる」と思っている方は要注意です。その単価はFITの買取期間中の話で、設置した年によって決まり、10年で終わります。そして終わったあとの落差は、想像よりずっと大きい。我が家は月あたりに直すと1万3千円ほどの収入が消えました。10年後にこうなることを前提に、設置の判断をしてください。

卒FIT後は、入金が「毎月」から「年2回」に変わりました

金額の落差ばかり語られますが、実際に暮らしてみて戸惑ったのは入金のタイミングのほうでした。

FIT期間中は毎月振り込まれていたのに、卒FIT後に契約した買取事業者は、支払いが年2回(5月末と11月末)にまとまりました。 検針のたびに買取量の通知は届きますが、お金が動くのは半年に一度です。

たとえば手元にある2026年6月23日〜7月22日の通知は、こうなっていました。

項目 実際の数値
買取電力量 138 kWh
買取単価 12.5円/kWh
買取金額 1,725円
発電側課金額 0円
支払予定日 11月末

7月に発電した分の1,725円が、実際に入金されるのは4か月以上あとということです。

⚠️ 支払いサイクルは買取事業者ごとに違います。毎月払いの事業者もあれば、我が家のように年2回のところもあります。単価だけで選ぶと、入金の間隔が想像と違って驚くことになります。売電先を比較するときは、単価と一緒に「支払いの頻度」も確認してください。家計簿につけるときも、発電した月と入金される月がずれる点に注意が必要です。

「発電側課金額 0円」についても補足しておきます。 発電側課金は送電網の維持費を発電する側も負担する制度で、対象は出力10kW以上の設備です。我が家は4.6kWなので0円でした。一般的な住宅用(10kW未満)であれば、同じく負担は生じません。

卒FIT後は「どこに売るか」で単価が変わります

ここは、卒FITを迎える方に一番お伝えしたい話です。

買取期間が終わると、売電先を自分で選べるようになります。 そして単価は事業者によってまったく違います。

売電先 関東の買取単価
大手電力(東京電力) 8.5円/kWh
我が家が契約している買取事業者 12.5円/kWh

その差、1kWhあたり4円。 我が家の年間売電量2,894kWhで計算すると、年間およそ1万1千円の差になります。

実際、2025年の売電額36,197円を売電量2,894.4kWhで割り戻すと12.51円/kWh。契約している事業者の公表単価12.5円とぴったり一致しました。

⚠️ 卒FITを迎えても、何もしなければ自動的に大手電力の単価(関東なら8.5円)で買い取られます。売電先の切り替えは手続きだけで済み、設備の工事は不要です。太陽光を10年以上使っている方は、今いくらで売れているかを一度確認してみてください。買取単価は事業者ごとに公開されているので、比較はすぐにできます。

※買取単価は期間ごとに改定されます。我が家の12.5円は2026年4月検針日〜10月検針日前日の単価でしたが、事業者からの通知により2026年10月検針日〜2027年4月検針日前日も据え置き(12.5円/kWh)で継続することが確定しています。最新の単価は各事業者の公式サイトでご確認ください。

売電先の見直し:3ステップで確認できます

「うちは今いくらで売れているんだろう」と思われたら、この順番で確認してください。年1万円前後の差になるので、確認する価値は十分あります。

STEP1:今の単価を確認する

売電の振込通知(または売電先のマイページ)に買取単価が印字されています。8円台なら、大手電力にそのまま買い取られている状態です。ここが出発点になります。

STEP2:他の事業者の単価と比べる

卒FIT向けの買取単価は、各事業者が公式サイトで公開しています。 「卒FIT 買取 単価 +(お住まいの地域)」で検索すれば一覧できます。同じ関東でも8.5円から13円台まで開きがあります。

STEP3:契約条件を確認してから切り替える

単価だけで決めないでください。見るべきは次の3点です。

  • 契約期間の縛りと解約金があるか
  • 単価の改定タイミング(半年ごと・1年ごとなど)
  • 「〇〇円相当のポイント還元」など、現金以外での支払いになっていないか

切り替えは書類の手続きだけで、設備工事は不要です。太陽光パネルにもパワコンにも触りません。

⚠️ この記事では、特定の買取事業者へのリンクは貼っていません。単価は地域ごとに違い、しかも半年ごとに改定されるため、記事に書いた瞬間から古くなるからです。お住まいの地域の単価を、ご自身で見比べていただくのが確実です。我が家の12.5円も関東の話であって、他の地域には当てはまりません。

本当の主役は、売電ではなく「自家消費」でした

ここからが、12年分のデータを並べて初めて見えたことです。

太陽光の記事はたいてい売電収入の話をします。ですが発電した電気には、売らずに家で使う分(自家消費)があります。 これは「電気を買わずに済んだ」ぶんなので、金額として表に出てきません。だから見落とされます。

我が家の自家消費率の推移を見てください。

自家消費 自家消費率
2015年 1,499 kWh 25.7%
2019年 1,638 kWh 29.2%
2022年 1,622 kWh 31.0%
2024年 1,823 kWh 36.5%
2025年 2,093 kWh 42.0%

発電した電気の4割以上を、家で使うようになっていました。 2015年は4分の1でしたから、10年で大きく変わっています。

7月だけを並べると、10年の変化が1本の線になります

同じ7月で比べると、この家で何が起きたのかがはっきりします。

発電量 売電 自家消費 自家消費率
2018年 622 kWh 408 kWh 214 kWh 34%
2023年 562 kWh 363 kWh 199 kWh 35%
2024年(6月に卒FIT) 469 kWh 235 kWh 235 kWh 50%
2025年 541 kWh 256 kWh 285 kWh 53%
2026年 452 kWh 143 kWh 309 kWh 68%

FIT時代は7月に400kWh前後を売っていたのに、2026年は143kWhまで減りました。 3分の1近くです。

ここだけを見れば「収入が激減した」と読めます。ですが同じ表の右端を見てください。自家消費は214kWhから309kWhへ増えています。 減った売電分は、消えたのではなく家の中で使われています。

そして注目していただきたいのは、2018年から2023年までは199〜214kWhで横ばいだったという点です。増え始めたのは2024年からで、そこから2年で309kWhまで伸びています。

💡 2026年はついに、自家消費が売電を上回りました。1〜8月の集計で発電3,416kWhに対し、売電1,657kWh・自家消費1,759kWh。自家消費率51%です。設置した2014年当時は「売って稼ぐ設備」でしたが、12年でその性格が変わりました。これから設置する方は、はじめから「自家消費のための設備」として考えたほうが、判断を間違えません。

なぜ変わったのか

理由は2つあると考えています。

1つ目は、子ども3人が成長して、各自の部屋で過ごす時間が増えたこと。 これが最大の要因です。小さいうちは家族がリビングに集まっていたので、冷暖房は1部屋で足りていました。それが年齢とともに、それぞれ自分の部屋で過ごすようになり、各部屋で冷暖房を入れるようになります。

とくに顕著なのが夏休みです。日中ずっと子どもが在宅し、各自の部屋でエアコンを使うので、消費電力が跳ね上がります。実際、我が家では毎年6月から7月にかけて自家消費が90kWh前後増加します。

6月の自家消費 7月の自家消費 増加
2023年 113 kWh 199 kWh +86 kWh
2024年 141 kWh 235 kWh +94 kWh
2025年 197 kWh 285 kWh +89 kWh
2026年 180 kWh 309 kWh +129 kWh

毎年きれいに増えています。 そして増加の幅そのものも、子どもの成長とともに大きくなってきました。

2024年と2026年の1〜7月を比べると、消費電力量は20.7%増えています。太陽光の性能ではなく、家族の暮らし方が変わった結果です。

2つ目は、売る意味が薄れたこと。 卒FITで単価が37円から12.5円に落ちました。一方で電気を買う単価は上がり続けています。12.5円で売るより、買わずに済ませるほうが2倍以上おトクになりました。

⚠️ 正直にお伝えすると、我が家の自家消費が増えた主因は「節約を意識したから」ではありません。子どもが育って各部屋で冷暖房を使うようになった、という避けようのない事情です。ただ結果として、卒FITで価値が下がった電気を家の中で使い切る形になり、太陽光が以前より役に立つようになりました。お子さんが小さいご家庭ほど、10年後の消費電力は今より確実に増えます。設置を検討する際は、今の電気代ではなく「子どもが中高生になったときの電気代」で考えてください。
💡 興味深いのは、売電量が減った理由です。1〜7月で比べると、2024年から2026年で売電は25.3%減っています。ところが発電量は5.3%しか落ちていません。減った売電分は、そのまま自家消費(+31.2%)に移っただけでした。

つまり「売電収入が減った=損した」ではありません。単価12.5円で売るはずだった電気を、30円前後で買わずに済ませているので、家計としてはむしろプラスです。売電額だけを見て一喜一憂すると、判断を誤ります。

累計でいくら回収できたのか

売電と自家消費を合わせて、12年間の経済効果を出します。

① 売電収入(実額ベース)

期間 売電量 単価 収入
FIT期間(2014年6月〜2024年6月) 39,947 kWh 37円 1,478,021円
卒FIT後(2024年7月〜2026年8月) 5,831 kWh 12.51円 72,943円
合計 1,550,964円

② 自家消費の価値

累計の自家消費は20,804kWh。これを「買わずに済んだ電気」として評価します。

想定単価 自家消費の価値
25円/kWh 520,104円
35円/kWh 728,146円

単価に幅を持たせているのは、電気料金がこの12年で大きく変わったからです。設置当時の電気は今よりずっと安く、燃料費調整がマイナスの年もありました。逆に近年は高い。一つの単価で12年分を計算するのは正確ではないので、幅で示します。

③ 合計と回収率

累計の経済効果 設置費用2,498,696円に対して
単価25円で計算 2,071,068円 回収率 83%(残り42.8万円)
単価35円で計算 2,279,110円 回収率 91%(残り21.9万円)

設置から12年で8〜9割を回収。残りは2〜4年で終わる見込みです。

「売電収入だけ」で計算すると、まったく違う結論が出ます

もし自家消費を無視して、直近の売電収入だけで割り算するとどうなるか。

設置費用2,498,696円 ÷ 年間売電収入36,209円 = 約69年

69年です。 これでは「太陽光は元が取れない」という結論になります。

でも実際は14〜17年で回収できる見込みです。この差を生んでいるのが、FIT期間中の高い単価と、金額として見えない自家消費でした。

⚠️ 「太陽光は儲からない」と言い切る記事を読むときは、計算方法を確認してください。直近の売電収入だけで割っていないか。同じように「絶対お得」と言い切る記事も、自家消費をどう見積もっているかで結論が変わります。正しく判断するには、発電量・売電量・自家消費量の3つが要ります。この記事の数字を出せるようになるまで、我が家も12年かかりました。

正直な話:3年間、データが取れませんでした

きれいなデータを並べましたが、ここに至るまでに失敗しています。

室内モニターが3年ほど故障していました。その間、発電量を確認する手段が家の中から失われていた状態です。売電額は通帳で分かっても、何kWh発電して、何kWh売って、何kWh自分で使ったのかが分からない。

だから、この記事を最初に書いたときは「元が取れたかどうか判断できない」という結論しか出せませんでした。数字が手元になかったからです。

幸いモニターが復活し、本体には12年分のデータが残っていました。 ただ、画面には「センターに送信されていない」という警告が今も出ています。モニターは動いていても、クラウド側への送信は止まったままなのだと思います。もしモニター本体が完全に壊れていたら、12年分は永久に失われていました。

これから設置する方へ、3つだけ

① 発電量を確認する手段を、モニター以外にも用意する

室内モニターは機械なので壊れます。スマホアプリやWeb管理画面など、別の経路で発電量を見られるかを契約前に確認してください。 最近の製品はアプリ対応が標準的ですが、確認する価値があります。

② 売電の通知書類は必ず保存する

売電量が書かれた通知には、買取単価も買取期間の起算日も載っています。我が家はこの書類のおかげで、FIT単価が37円だったこと、起算日が2014年6月だったことを確認できました。 年に数回のことなので、専用のフォルダを作っておくだけで違います。

③ 「設置費用 ÷ 売電収入」で判断しない

先ほど示したとおり、この計算だけだと69年という数字が出ます。オール電化なら特に、自家消費の影響が大きいので、実態から大きくズレます。


次の選択肢として蓄電池を検討しています

12年分のデータを見て、はっきりしたことがあります。我が家はまだ、発電した電気の58%を12.5円で売っているということです。

電気を買う単価は30円前後。売るより使うほうが2倍以上おトクなのは明らかです。それでも売ってしまうのは、太陽光が昼に発電するのに対して、電気を一番使うのが朝と夜だからです。オール電化だとなおさらです。

蓄電池があれば、昼に発電した電気を貯めて夜に使えます。買う電気を減らせるうえに、災害や停電のときの非常用電源にもなります。在宅避難の備えとしては、ポータブル電源より容量が大きいのが利点です。

ただし本体価格が高く、「元が取れるか」は世帯の使い方によって大きく変わります。 我が家の場合、自家消費率が42%まで上がってきているので、残り58%をどれだけ拾えるかが判断の分かれ目になります。

見積もりを取るなら、お住まいの地域で選び方が変わります

蓄電池は設置してみないと分からない要素が多いので、まずは自宅の条件で試算してもらうことになります。ただ、窓口の選び方は地域によって変わります。

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判断は「契約前」にするしかありません

我が家がこの記事を書けるようになったのは、12年分のデータが手元に戻ってきたからです。逆に言えば、データがない間はどんな判断もできませんでした。

蓄電池のような追加投資を検討するとき、必要なのは一般論ではなく自宅の条件での試算です。屋根の向き・面積・普段の電気の使い方によって結果はまったく変わります。我が家のように3方位設置なら、なおさら一般的な計算式は当てになりません。

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ちなみに、今の電気代はこうです

太陽光がある家の電気代も出しておきます。直近の請求(2026年6月23日〜7月22日分)です。

⚡ 2026年7月分の電気代(実額)

  • 請求金額:18,062円
  • 使用量:516kWh
  • 前年同月比:+1,286円

オール電化なので、この金額にガス代は含まれていません。 ガス併用の家庭と比べるときは「電気代+ガス代」で比較してください。

そして太陽光がある家でも、電気料金の値上がりからは逃げられません。 前年同月より1,286円上がっています。むしろ自家消費率が上がっているのは、この値上がりに対する自然な防御になっているとも言えます。


まとめ:12年でここまで分かりました

  • 太陽光4.6kWを2014年6月に設置。設置費用は2,498,696円
  • 12年間の累計発電量は66,581kWh(一般世帯の15年分の電気に相当)
  • パネルの劣化は年1.63%(9.5年で−14.5%)。ただし天候の年変動を含む
  • 1kWあたりの発電量は2025年でも1,084kWh/kW。目安(1,000〜1,200)の範囲内
  • FIT単価は37円/kWh。この10年で約148万円の売電収入があった
  • 2024年6月に卒FIT。売電収入は年16万円台から3.6万円へ、4分の1以下に
  • 卒FIT後は売電先を選べる。関東なら大手電力8.5円に対し、事業者を選べば12.5円で年1万円強の差
  • 自家消費率は25.7%(2015年)→42.0%(2025年)へ上昇。 売電が減った分は自家消費に移っただけで、家計としてはむしろプラス
  • 累計の経済効果は207万〜228万円。設置費用に対して回収率83〜91%。あと2〜5年で回収完了の見込み
  • ⚠️ ただしパワコン(寿命10〜15年・交換費20万〜45万円)はまだ交換していない。 発生すれば回収は2〜3年後ろにずれる
  • 直近の売電収入だけで割ると69年という数字が出る。この計算をしてはいけない

太陽光は「お得か損か」の二択で語られがちですが、実際は設置した年のFIT単価、屋根の条件、家の電気の使い方で結論が変わります。我が家の14〜17年という数字も、2014年に37円で契約できたからこその結果です。

同じように太陽光をつけていて、発電量を把握していないという方は少なくないと思います。 この記事が、「一度モニターを見てみよう」というきっかけになれば嬉しいです。12年分のデータは、想像よりずっと多くのことを教えてくれました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今日できることは一つだけ——ご自宅のモニターが、まだちゃんと動いているか確認することです。


よくある質問

Q. 太陽光4.6kWで年間どれくらい発電しますか?

A. 我が家の実測では、設置初期で年5,800〜6,000kWh、11年経った現在で年約5,000kWhです。1kWあたりに直すと1,084〜1,316kWh/kWでした。屋根の向きと地域で大きく変わるので、この「1kWあたり」の数字で比較してください。

Q. 太陽光パネルは何年でどれくらい劣化しますか?

A. 我が家の実測では9.5年で−14.5%、年あたり約1.63%でした。ただしこれには天候の年変動が含まれています。実際、稼働4年目に一度2年目を上回った年(+3.8%)もありました。

Q. 卒FITになると収入はどれくらい減りますか?

A. 我が家は年16万円台から3.6万円へ、4分の1以下になりました。買取単価が37円/kWhから12.5円/kWhに下がったためです。落差は想像よりずっと大きいので、10年後にこうなる前提で判断してください。

Q. 卒FIT後、売電先はどうやって選べばいいですか?

A. 買取単価は事業者ごとに公開されているので比較できます。関東の場合、大手電力が8.5円なのに対し、事業者を選べば12.5円というケースがあります。切り替えは手続きだけで、設備工事は不要です。何もしないと自動的に大手電力の単価になります。

Q. 太陽光は元が取れますか?

A. 我が家は12年で回収率83〜91%、あと2〜5年で回収完了の見込みです。ただしFIT単価37円という前提と、パワコンをまだ交換していないことが条件です。パワコン交換(20万〜45万円)が発生すれば、さらに2〜3年ほど後ろにずれます。直近の売電収入だけで割ると69年という数字も出せてしまうので、発電量・売電量・自家消費量の3つで計算してください。

Q. 発電量が分からなくなったらどうすればいいですか?

A. パワーコンディショナのモニター、メーカーのスマホアプリ・Web管理画面、売電先から届く通知書類のいずれかで確認できます。我が家はモニターが故障していた時期がありましたが、復旧したら本体に12年分が残っていました。 諦める前に一度確認してみる価値があります。


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