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防災グッズをそろえると、いくらかかるのか。

先に金額を書きます。5人家族で初期2万円ほど、さらに入れ替えに年5,000〜8,000円です。1日あたりにすると13〜22円になります。

買って終わりではありません。 水と非常食の期限は5年ほどなので、何年かおきに買い直す費用が続きます。ここまで書いている記事が少ないので、家計に組み込むときの落とし穴になります。

我が家がこれを調べたきっかけは、10年以上前に買った非常持出袋を開けてみたことでした。「一応ある」と思っていた袋の中は、水も食料も入っておらず、簡易トイレは2〜3回分、住所の記入欄は空白のまま。ほとんど機能していませんでした(実物の写真はこちらの記事に載せています)。

正直にお伝えします。我が家は市販の防災セットもポータブル電源も、まだ購入していません。 この記事は「使ってみた感想」ではなく、買う前に何をどこまで調べたかの記録です。公的機関のデータと実際の販売価格を突き合わせて、5人家族でいくらかかるのかを一つずつ計算しました。

その後、2026年10月に、実際に2つ買いました。 払った額は次のとおりです。

2026年10月に買ったもの 払った額 中身と使ってみたこと
非常用トイレ100回分 5,999円 5人家族で4日分。水で固まるまで30秒〜1分(買って試した記事)
台所用の消火スプレー(消す兵衛neo) 2,030円(送料込み) 2007年製の古い1本と入れ替え。新しい1本は2029年5月まで(期限を確かめた記事)
合計 8,029円

もとから家にあったのは、ふだん飲んでいる2Lの水18本(36L)、乾パン缶2つ、カセットコンロとカセットガス7本、単3電池です。数えてみると、水は2.4日分、主食になる食べ物は1日分に届きませんでした(5人家族の備蓄量を数えた記事)。市販の防災セットとポータブル電源は、今も買っていません。


📋 この記事でわかること

  • 5人家族の初期費用は約2万円。世帯人数別の早見表つき
  • 入れ替えに年5,000〜8,000円かかる(1日13〜22円)
  • 品目別の価格一覧と、最低限・標準・充実の3段階
  • 世間の平均は1人あたり年2,877円(インテージ2026年調査)との差
  • 月3,000〜5,000円で防災費を家計に組み込む方法

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結論:防災対策の費用は平均1人年2,877円。5人なら初期2万円

防災費用の平均と、5人家族の初期費用・入れ替え費用の要点

まず、世間の人はいくら使っているのか

自分の家がどうかを考える前に、基準を知っておいたほうが判断しやすくなります。

インテージ「防災意識調査」(2026年8月19日発表・全国15〜79歳の男女5,000人が対象)によると、過去1年間の防災対策費用は1人あたり2,877円でした。

調査の発表年 1人あたりの防災対策費用
2023年 2,051円
2024年 2,831円
2025年 2,892円
2026年 2,877円

3年前と比べると4割ほど増えましたが、直近2年は横ばいです。物価が上がるなかで防災費だけが伸びていない、という状況が見えます。

5人家族に置き換えると、年14,385円。月に直すと1,200円ほどです。

そして同じ調査で、防災対策の実施率は52.8%。半数近くが、何もしていません。

「お金がかかる」で止まっている人が22.9%います

この調査は、対策していない理由も聞いています。

対策していない理由 割合
必要だと思うが後回しにしている 4割超
何から始めればよいかわからない 28.8%
お金がかかる 22.9%

私は1番目でした。必要だと分かっていて、それでも何年も動かなかった。この記事は、2番目と3番目の「何から」「いくら」に答えるために書いています。

では、実際に備えるといくらかかるのか

5人家族で防災対策にかかる費用を調べた結果、次の3段階に整理できました。

備えのレベル 費用の目安 揃えるもの
最低限
まず一歩を踏み出す
約2万円 防災セット(避難用)+水・非常食の備蓄3日分
標準
在宅避難も想定
約5万円 上記+備蓄を1週間分に増量+小型ポータブル電源
充実
停電の長期化に対応
約8〜15万円 上記+大容量ポータブル電源+ソーラーパネル

「思ったより高い」と感じたかもしれません。世間の平均(5人家族なら年14,385円)と比べると、最低ラインの2万円ですら1.4倍です。

ただし見方を変えると、こうも言えます。平均どおりに使っている家庭でも、5人家族なら1年半で2万円に届くということです。しかもこの大部分は一度きりの出費で、毎年かかるわけではありません。次の章で内訳を細かく見ていきます。

世帯人数別の費用早見表(水と食料)

「うちは3人だけど、いくらかかるの?」という方のために、人数別に出しました。1人1日3L・3食という国が推奨している量で計算しています。

この3Lは飲む・食べるための水です。断水すると、トイレを流す・手を洗う・体をふく生活用水も別に要ります。お風呂の残り湯をためておく方法がよく使われます(我が家はエコキュートのタンクの水を使えます。くわしくはオール電化で冬に停電したら?エコキュート370Lのお湯と太陽光で使えるもの)。

世帯 3日分 1週間分
1人暮らし 1,900〜3,000円 4,400〜7,000円
2人 3,700〜5,900円 8,600〜13,800円
3人 5,600〜8,900円 13,000〜20,700円
4人 7,400〜11,800円 17,200〜27,500円
5人(我が家) 9,300〜14,800円 21,600〜34,500円

※水は2Lボトル1本130〜175円、非常食は1食140〜240円で計算。防災セット(避難用リュック)は別途です。

家にある量で何日もつかは、「5人家族の備蓄量は水45L・45食|数えたら我が家の食料は1日分なかった」の計算ツールで確かめられます。

まず3日分から始めれば、1人あたり2,000円弱です。「1週間分」で考えると重く感じますが、3日分なら現実的な金額だと思います。

予算帯別:この金額なら何が揃うか

「総額いくら」より「今出せる金額で何ができるか」のほうが動きやすいはずなので、予算から逆算した表も作りました。5人家族を想定しています。

予算 揃うもの 何日しのげるか
5,000円 水3日分+簡易トイレ+乾電池+懐中電灯 停電した夜を越せる
1万円 上記+非常食3日分 3日間の在宅避難
2万円 上記+避難用の防災セット1〜2人分 3日間+避難もできる
5万円 上記+備蓄を1週間分に増量+小型ポータブル電源 1週間の在宅避難
10万円〜 上記+大容量ポータブル電源+ソーラーパネル 停電の長期化にも対応

最初の5,000円で買うべきは、水と簡易トイレです。 意外に思われるかもしれませんが、トイレは我慢できません。 断水すると自宅のトイレは流せなくなり、しかも1日に何度も必要になります。非常食は最悪1〜2日抜いてもしのげますが、トイレはそうはいきません。

🚽 何はともあれ、非常用トイレだけは先に確保を

断水したとき、自宅のトイレに無理に水を流すと下水管の破損や逆流の原因になります。「流せない」だけでなく「流してはいけない」状態になるということです。

必要な量は1人1日5回が目安。5人家族が3日過ごすなら75回分です。100回分で3,000〜8,000円なので、防災セットを買う決心がつかない方も、これだけは先に用意しておく価値があります。

※我が家は2026年10月に、この非常用トイレ100回分を買いました(非常用トイレ100回分を買って水で固めた結果)。最新の価格と中身は販売ページで確かめてください。

⚠️ 「全部そろえてから」と考えると、いつまでも始まりません。我が家が何年も後回しにしてきた理由がまさにこれでした。5,000円で買えるものから始めて、ボーナスのたびに1段ずつ上げていくほうが、結果的に早く備えが整います。

なぜここまでお金をかけるのか:3,810人という数字

金額を見て「やっぱり高いな」と感じた方に、もう一つだけ数字をお見せします。なぜここまでする必要があるのかという話です。ここを知らないまま金額だけ眺めると、たいてい「また今度」で終わります。

復興庁・内閣府(防災担当)・消防庁が2026年2月13日に公表した資料に、こういう数字があります。

📊 東日本大震災における震災関連死(令和7年12月31日現在)

  • 合計:3,810人(1都9県)
  • うち66歳以上:3,371人(88.5%)
  • 21〜65歳:429人/20歳以下:10人

出典:復興庁・内閣府(防災担当)・消防庁「東日本大震災における震災関連死の死者数(令和7年12月31日現在調査結果)」令和8年2月13日公表

「震災関連死」とは、津波や倒壊で直接亡くなった方ではありません。 避難生活での身体的負担や、持病の悪化などで亡くなった方です。定義上は「災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、災害が原因で死亡したと認められたもの」とされています。

つまり——地震そのものを生き延びたあとに、環境の悪化で亡くなった方が3,810人いるということです。

そしてその88.5%が66歳以上。避難所生活が高齢者にとってどれほど過酷かを示しています。

💡 防災の備蓄は「避難所に行かずに済むための投資」でもあります。自宅が無事なら、住み慣れた家で過ごせるほうが体への負担は圧倒的に小さい。ただしそれができるかどうかは、家に水と食料と電源があるかどうかで決まります。

特に、実家に高齢のご両親がいる方は、ご自身の分だけでなく実家の備蓄も考えておく価値があります。この数字を見ると、そう思わざるを得ません。

防災グッズの費用内訳【5人家族の場合】

「防災対策の費用」と一口に言っても、中身は大きく3つに分かれます。

①避難用の防災セット:1〜2万円

家から逃げるときに持ち出すリュックです。1人1つが理想ですが、まずは家族分をカバーする1〜2セットからでも構いません。

項目 費用の目安
市販の防災セット(1人用・30〜45点) 8,000〜15,000円
市販の防災セット(2人用) 15,000〜25,000円
自分で揃える場合 10,000〜30,000円

自分で揃えると一見安く済みそうですが、実際には「リュック本体2,000円+懐中電灯1,500円+携帯トイレ1,500円+…」と積み上がり、選定の手間を考えるとセット購入と大差ないというのが調べてわかった結論でした。

②水・食料の備蓄:1〜3万円

在宅避難を想定した場合、家に置いておく分です。農林水産省は最低3日分、できれば1週間分を推奨しています。

品目 5人家族・1週間分の目安 費用
水(1人1日3L×7日×5人=105L) 2Lボトル 約53本 6,000〜9,000円
主食(アルファ米・パンなど) 105食分 15,000〜25,000円
副食・栄養補助食品 適宜 3,000〜6,000円

※3日分に絞れば、この金額の半分以下(1万円前後)に抑えられます。

▼ 水は「10年保存・2L×6本」の箱で数えると楽です(5人家族の3日分=45Lで約4箱)

▼ 主食は「50食まとめ買い」だと、5人家族の3日分(45食)に届きます

※我が家はまだ購入していません。楽天の売れ筋から、保存期間と量で選んだ候補です。最新の価格と中身は販売ページで確かめてください。

③停電対策:0〜10万円

ここが一番、金額の幅が大きい部分です。

対策 費用の目安 できること
モバイルバッテリー(大容量) 5,000〜10,000円 スマホの充電のみ
小型ポータブル電源(500Wh前後) 30,000〜60,000円 スマホ・照明・扇風機
大容量ポータブル電源(1000Wh以上) 80,000〜150,000円 上記+冷蔵庫・電子レンジ

予算が限られるなら、まず①と②を優先すべきです。③は後述するように「普段使いできる」性質があるため、家計に余裕ができてからで十分間に合います。

品目別の価格一覧(何にいくらかかるのか)

ここまでは「避難用セット」「水と食料」「停電対策」という大きなくくりで見てきましたが、実際に買い物をするときはもっと細かい単位になります。何を何個買えばいくらかが分かるように並べ直しました。5人家族・1週間分が基準です。

カテゴリ 具体的な品目 費用の目安
水 保存水2L×53本(1人1日3L×7日) 6,000〜9,000円
食料 アルファ米・パン・レトルト105食分 15,000〜25,000円
食料(副食) 缶詰・栄養補助食品・お菓子 3,000〜6,000円
トイレ 簡易トイレ 100回分前後 3,000〜8,000円
明かり LEDランタン2〜3個+懐中電灯+乾電池 3,000〜8,000円
衛生 ウェットティッシュ・歯みがきシート・生理用品 2,000〜5,000円
情報・通信 手回しラジオ+モバイルバッテリー 5,000〜12,000円
調理 カセットコンロ+ボンベ6本 4,000〜7,000円
合計 41,000〜80,000円

※カセットボンベは、農林水産省の目安(1人1週間で約6本)だと、5人家族の1週間で約30本です。表の6本は2日分に届かないので、煮炊きの多い家は買い足してください。

※避難用の防災セット(リュック)と、ポータブル電源は別途です。

この表を作って自分でも驚いたのが、トイレと調理器具です。 防災というと「水と食料」に意識が向きますが、断水するとトイレが使えず、停電するとカセットコンロがないと何も温められません。 費用としては小さいのに、無いと一気に生活が成り立たなくなる項目です。

見落としがちな「④入れ替えの費用」:年5,000〜8,000円

品目ごとに期限は違います。水は5年、カセットボンベは7年、乾電池は10年です。どれがいつ切れるのかを一覧にした記事を別にまとめました。我が家の袋がほとんど全滅していたのも、ここを知らなかったからです。→ 防災グッズの期限は何年?水5年・カセットボンベ7年・乾電池10年の品目別一覧

防災の費用を紹介する記事はたくさんありますが、ここに触れているものはあまり見かけません。

水にも非常食にも賞味期限があります。 一般的な保存水とアルファ米は5年程度なので、5年ごとに買い直す必要があります。 つまり防災備蓄は、買って終わりではなく毎年じわじわ費用がかかる項目です。

我が家(5人・1週間分)で計算するとこうなります。

項目 金額
備蓄一式の再購入額 24,600〜40,500円
これを5年ごとに入れ替えると 年 4,900〜8,100円
1日あたりに直すと 13〜22円
💡 「年8,000円」と聞くと惜しく感じますが、1日あたり22円です。自動販売機のジュース1本にも届きません。家計の項目として見れば、これは火災保険や自動車保険と同じ「起きないことに払うお金」です。そう捉えると、削るべき固定費ではないと私は考えています。

なお、期限切れを防ぐ一番かんたんな方法は「ローリングストック」です。普段食べるレトルトや缶詰を少し多めに買い、古いものから消費して買い足す。これなら入れ替えの手間も、捨てる罪悪感もありません。

防災対策の費用を補助してくれる自治体もある【2026年度】

防災グッズの購入費を、市区町村が一部補助している地域があります。 2026年度の例を並べます(各自治体の公式ページで2026年10月に確認)。

自治体 対象の主な防災用品 補助の額 受付
東京都渋谷区 家具転倒防止金具・ガラス飛散防止フィルムなど 実費、上限1万円(1回限り) 区の防災課に確認
神奈川県相模原市 感震ブレーカー・家具転倒防止器具・消火器・住宅用火災警報器・災害用トイレ・ラジオ・防災用品セット 費用の2分の1、上限1万円(世帯で1回) 2026年10月15日〜12月15日(先着・予算に達したら終了)
静岡県焼津市 家具転倒防止器具・ガラス飛散防止フィルム・感震ブレーカーなど 費用の3分の2以内、上限2万円(世帯で1回) 2027年2月19日まで

対象になる品物、補助の割合、受付の期間は、自治体ごとにまったく違います。 相模原市のように「2026年9月15日以降に買った物」と購入日に条件があるところもあります。

💡 自分の地域を調べるときは、「お住まいの市区町村名+防災用品 補助」で検索してください。買う前に、購入日や申請の順番に条件がないかを確かめるのが、補助を取りこぼさないコツです。

「そのうちやろう」が何年も続いていた理由

防災を後回しにしてきた理由は2つです。

①「何から始めていいかわからない」 防災グッズを検索すると、水・食料・ライト・救急用品・ラジオ……と、揃えるべきものが無数に出てきます。全部揃えようとすると費用も手間も膨らんで、結局手を付けないまま終わる。

②「必要性はわかっているが、緊急度を感じにくい」 明日地震が来る保証はない。だからこそ「今じゃなくていい」という先送りが続きます。

この2つの壁を越えたのが、「防災セットでまとめて揃える」という発想でした。


まず基本の備えを一気に整える:防災セット

防災セット(39点) DIY(自分で揃える) ホームセンター購入
準備の手間 注文するだけ リスト作成から 店舗を回る必要
内容品の充実度 39点セット 自分次第 商品による
「後でやろう」リスク 低い(1回で完結) 高い(工数多い) 中(行動が必要)
費用目安 約1〜2万円 1〜3万円程度 1〜2万円程度
本記事の結論 ✅ 最有力候補 — —

防災士が厳選した39点セットは、楽天ランキング1位の実績がある防災グッズパッケージです。基本のアイテムが一通り揃っています。

個別に揃えようとすると、何時間もかけて選定・購入・保管場所の確保が必要になります。セットにすることで、この手間を一気に省略できます。

セット内容は、水・非常食・ライト・救急用品・防寒具・ラジオ・ホイッスルなど、避難時に本当に必要なものが網羅されています。「何から始めていいかわからない」という方の最初の一手として、最も効率的な選択肢です。

5人家族なら何セット買えばいい? ← 正直にお答えします

ここは迷うところだと思うので、はっきり書いておきます。5人家族だからといって5セット買う必要はありません。

理由は、防災セットの中身が「道具」と「消耗品」に分かれているからです。

中身 よく入っているもの 家族で共用できるか
道具 多機能ラジオライト・携帯浄水器・救急セット・ホイッスル・カッター等 ✅ 1つあれば家族で使える
消耗品 保存水・保存食・非常用トイレ ❌ 人数分必要

つまり、まず1セット買えば「道具」は揃います。 ラジオライトも浄水器も救急セットも、5個は要りません。

そのうえで、水・食料・トイレは記事の前半で出した品目別の表を見ながら、スーパーやネットで箱買いして足す。このほうが圧倒的に安く済みます。保存水を1本ずつセットで買うより、2Lボトルを箱で買うほうが単価が安いのは当然です。

⚠️ 特に注意したいのがトイレです。セットに入っている非常用トイレは20回分前後のことが多く、1人が3〜4日使う量にしかなりません。5人家族が3日過ごすと、必要なのは70〜75回分(1人1日5回想定)。セットとは別に、100回分のものを1箱買い足してください。3,000〜8,000円で買えます。

「セットを買ったから安心」と思い込むのが、一番危ない状態です。セットは道具を揃えるためのもので、備蓄の量は別で確保する——この分担で考えると、費用も無駄になりません。

今日の備えが、いざというとき家族を守る盾になります。

【防災士厳選】39点セットで「何から揃えるか問題」を一気に解決する

基本セットの次:停電対策に「ポータブル電源」

近年の災害で最も生活に影響するのが、停電の長期化です。スマホの充電切れによる情報遮断、冷蔵庫の停止による食料の腐敗、そして夜間の暗闇。これらのリスクを平時のうちに家庭内でシャットアウトしてくれるのが「ポータブル電源」という選択肢です。

ここでは、ポータブル電源の一例としてDabbsson(ダブソン)の特徴を、公式の情報をもとにまとめます。我が家はポータブル電源を持っておらず、今のところ買う予定もありません。使った感想ではなく、調べた内容の紹介です。

電気自動車と同じ「リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)」を採用しており、安全性が高く寿命も長いとされています。コンセントに挿して充電し、家電をつなぐだけで使える仕組みです。

スペック上は、1台あれば家族全員のスマホを何十回もフル充電できるだけでなく、消費電力の大きいミニ冷蔵庫や電子レンジ、冬場の電気毛布まで動かせるとされています。ソーラーパネルと組み合わせれば、停電が長引いても自宅で電気をある程度自給できる可能性がある、というのが調べてわかったことです。

「停電になってから慌てて探す」のでは手に入らない可能性があります。必要だと感じた家庭は、停電が起きる前の落ち着いた時期に、容量と価格を見比べておくと安心です。

▼ 容量と価格は、公式サイトで機種ごとに見比べられます

【Dabbsson公式】安全性と大容量を両立したポータブル電源の詳細を確認する

ポータブル電源は「防災専用」にしない方がいい理由

ポータブル電源を「災害時専用」として押し入れにしまっておく家庭は多いです。しかしそれは少しもったいない使い方です。

普段使いで防災費を「回収」できる: ポータブル電源は、日常的な節電ツールとしても活躍するとされています。夜間の安い電力で充電し、電気代ピーク時に家電へ給電すれば、電力使用を平準化できる可能性があります。キャンプや車中泊での電源確保にも使えるため、防災専用の出費になりにくいとされています。

さらにスマートプラグと連携すれば、家電のオン・オフをスマホで一括管理でき、無駄な待機電力を自動でカットできるという情報もあります。「防災のための備え」が、毎月の電気代削減という形で日常に貢献してくれる可能性がある——これが防災費を「使い切り」ではなく「投資」として位置づけられる理由だと考えています(我が家はポータブル電源を持っていないため、いずれも調べた範囲の話です)。

スマートプラグで本当に電気代が下がるのかは、別の記事で調べました → スマートプラグで電気代は下がる?オール電化5人家族が調べた結論


モノの備えとあわせて、台風や大雨で家が浸かったときの補償も確かめておくと安心です。我が家が県民共済の水災補償を調べた結果は「県民共済の水災補償は?水害保険はなく、床上浸水は最高600万円【加入者が確認】」に書いています。

防災費用を「家計に組み込む」方法

防災グッズを一気に全部揃えようとすると、まとまった出費になり躊躇します。そこでおすすめしたいのが、防災費用を家計に「月次予算」として組み込む方法です。たとえば、次のような順番で少しずつそろえる方法があります。

防災費の家計組み込み方(一例):

1ヶ月目
防災セット購入(一括)
2〜3ヶ月目
ポータブル電源購入
4ヶ月目〜
消耗品の補充・更新(水・非常食)

月予算3,000〜5,000円を「防災費」として設けることで、「一度に何万も買って家計を圧迫しなければ」というプレッシャーから完全に解放されます。何より、これまでに固定費の見直しで削り落としてきた余剰をこの予算に充てるだけで、今の生活水準を落とすことなく、家の防御力を最大化できます。

💰 では、その月3,000〜5,000円をどこから捻出するか

月10万円の固定費を断捨離した40代のリアル 家計をゼロから見直して年間約95万円の余力を作った全ステップ。防災費はここから出せます。 袋分けからキャッシュレス家計管理へ 月数千円の余裕を作ったきっかけは通信費の見直しでした。家族の説得法まで書いています。

防災を後回しにすることにも「コスト」がある

防災への備えをしないことは、リスクをそのまま抱えることを意味します。

被災後の現実的な出費:

  • 避難生活中のホテル・宿泊費
  • 食料・衣類の緊急購入
  • 家電・家具の再購入
  • 仮住まい中の生活費増加

適切な防災備えがあれば、こうした「被災後の追加支出」を大幅に減らすことができます。数万円の備えが、被災時の数十万円の出費を防ぐ可能性があります。保険と同じ発想で、「使わないに越したことはないが、いざというとき必ず役に立つ」——それが防災費の本質です。


よくある質問

Q. 防災対策の費用は最低いくら必要ですか?

A. 最低ラインは2万円程度です(5人家族の場合)。内訳は避難用の防災セット(1〜2万円)+水・食料の3日分(1万円前後)。まずここから始めて、余裕ができたら備蓄を1週間分に増やす、ポータブル電源を追加する、という順番で拡張していくのが現実的です。

Q. 一人暮らし・二人暮らしだといくらかかりますか?

A. 水と食料の3日分なら、1人暮らしで1,900〜3,000円、2人で3,700〜5,900円です。1週間分にすると1人4,400〜7,000円、2人8,600〜13,800円。ここに避難用の防災セット(1人用8,000〜15,000円)を足した金額が総額になります。世帯人数別の早見表は記事の前半に載せています。

Q. 防災対策の費用は毎年いくらかかりますか?

A. 年5,000〜8,000円(1日あたり13〜22円)です(5人家族・1週間分の場合)。水と非常食の賞味期限は5年程度なので、5年ごとに買い直す費用がかかります。買って終わりではない点は、予算を立てるときに入れておいてください。普段食べるものを少し多めに買って古い順に消費する「ローリングストック」にすれば、入れ替えの手間も捨てる罪悪感もなくせます。

Q. 予算5,000円でも意味のある備えはできますか?

A. できます。 5,000円あれば「水3日分+簡易トイレ+乾電池+懐中電灯」が揃い、停電した夜を越せます。 全部そろえてから、と考えると何年も始まりません。まず買うべきは水と簡易トイレです。断水するとトイレは流せなくなり、しかも我慢できないためです。非常食は最悪1〜2日抜いてもしのげます。

Q. なぜ避難所ではなく在宅避難の備えが必要なのですか?

A. 復興庁・内閣府・消防庁の公表資料によると、東日本大震災の「震災関連死」は3,810人(令和7年12月31日現在)で、その88.5%が66歳以上です。これは地震そのものではなく、避難生活の負担などで亡くなった方の数です。自宅が無事なら住み慣れた家で過ごせるほうが体への負担は小さく、そのために必要なのが水・食料・電源の備蓄になります。

Q. 防災対策の費用に、補助金は使えますか?

A. 自治体によっては使えます。家具転倒防止器具や感震ブレーカー、防災用品セットなどの購入費を、費用の2分の1や3分の2、上限1万〜2万円ほど補助している市区町村があります。対象と受付期間は自治体ごとに違うので、買う前に市区町村のホームページで確かめてください。

Q. 防災グッズは市販セットと自分で揃えるのと、どちらが安いですか?

A. 金額だけを見ると自分で揃えるほうが数千円安くなることもありますが、選定と買い集めの手間を考えるとセット購入と大差ありません。「何を買うか調べているうちに面倒になって結局やらない」という失敗を避ける意味では、セット購入のほうが確実です。

Q. 5人家族だと水と食料はどれくらい必要ですか?

A. 1人1日3L・3食で計算すると、3日分で水45L・45食、1週間分で水105L・105食です。水105Lは2Lペットボトル53本分(6本入り9箱)に相当します。小さなお子さんがいる家庭は大人の7割程度で見積もっても構いません。

Q. ポータブル電源は本当に必要ですか?

A. 予算が限られるなら優先度は低めです。まず防災セットと水・食料を確保してからで十分間に合います。ただしポータブル電源は「キャンプや車中泊でも使える」「電気代の安い時間帯に充電して使える」など普段使いができるため、防災専用の出費にならない点は魅力です。

Q. 防災費用を家計に組み込むコツはありますか?

A. 月3,000〜5,000円の「防災費」枠を作るのがおすすめです。一度に10万円出そうとすると躊躇しますが、月単位に分ければ負担は現実的な範囲に収まります。固定費の見直しで浮いたお金をこの枠に充てれば、生活水準を落とさずに備えを強化できます。


🏠 金額がわかったら、次は「何から置くか」

この記事で出した費用は、避難所へ行かずに自宅で耐える「在宅避難」を前提にした金額です。実際にどの順番で何を置けばいいかは、トイレ・水食料・電気の3つに絞って別記事にまとめました。

避難所に行かない「在宅避難」の備え5選|5人家族で必要なものを調べてみたを読む

まとめ:防災は「家計の守り」の一部として位置づける

  • 防災対策の費用は最低2万円・標準5万円・充実8〜15万円が目安(5人家族の場合)
  • 内訳は「①避難用セット1〜2万円 ②水・食料の備蓄1〜3万円 ③停電対策0〜10万円」
  • 予算が限られるなら①②を優先。③のポータブル電源は普段使いもできるので後回しでOK
  • 防災セット(防災士厳選39点)で「何から揃えるか問題」を一気に解決する
  • 月3,000〜5,000円の防災予算をあらかじめ家計に組み込めば、一度の大きな出費を避けられる
  • 防災費は単なる「支出」ではなく、大切な家族を守るための「リスクヘッジ」

家計の最適化を進めてきた方こそ、最後に防災という「最大の守り」を整えることをおすすめします。固定費を削った分の余剰が、最も価値ある形で大切な家族を守るために機能する瞬間です。

最初にやることは1つだけです。家にある非常持出袋を開けて、中身の期限と、ちゃんと使えるかを確かめてください。 足りない物と買い替える物が、そこで分かります。

正直に言うと、我が家は「非常持出袋があるから平気」だと思っていました。10年ぶりに開けてみたら、使えない物ばかりで、本当に驚きました。 中身があるかどうかだけでなく、使えるかどうかまで確かめないと意味がないのだと思い知りました。

家族も、防災袋が1つあれば大丈夫だと思っていました。一緒に中身を見直すうちに、家族の人数分が必要なこと、生理用品のように家族それぞれに必要な物があること、ペットの分の備えも要ることに、みんなで気づきました。

「うちは防災袋があるから大丈夫」と思っている方へ。一度だけ、袋を開けて中身を手に取ってみてください。 我が家のように、いざというときに使えない袋を抱えたままの家が、一つでも減ればうれしいです。

▼ 何から揃えるか迷ったら、セットの中身の一覧を見るだけでも参考になります

【防災士厳選】39点セットの中身と価格を確認する

🔌 予算と用途で選ぶ:ポータブル電源の2択

冷蔵庫や電子レンジまで動かしたい(大容量・8〜15万円)

本文で紹介したDabbssonが候補。安全性の高いリン酸鉄リチウム電池を使っています。

まずはスマホと照明だけ確保したい(小型・3〜6万円)

知名度と実績で選ぶならJackery(ジャクリ)。小容量から大容量まで幅広く揃っているので、予算に合わせて選びやすいのが利点です。

⚠️ いきなり大容量を買う必要はありません。この記事で繰り返しお伝えしているとおり、優先順位は水 → トイレ → 食料 → 電源です。電源は最後で構いません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今日やることは、買い物ではありません。 家に非常持出袋があるなら開けてみる、なければ水が何本あるか数えてみる。我が家は開けてみて、半分足りていないと分かりました。 そこからで十分間に合います。


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